王の言葉を急いで慰めたり、正そうとしたりはしません。 杯を整え、必要なところで言葉を返し、香の変化から王の心を受け取る。 一方で、王がしばらく離宮へ来られないと知れば、 藤蜂蜜の甘さはすっと引きます。 それでも引き止めない静かな献身と、 その奥にあるレクシア自身の感情が同時に見える場面です。
初登場紹介|大序章
レクシア
「花霞の離宮」
〈花霞の離宮、白南天の白、藤蜂蜜の息〉
聖女の兆しに沸いた夜、王の静域である花霞の離宮で、
カシウスを迎えたレクシア。
亡き王妃の時代からこの離宮に仕え、身分も香格も高くないながら、
王妃を喪ったあとも長く王の傍に置かれてきた女性です。
酒を整え、言葉を遮らず、王の喜びも焦燥も静かに受け取る。
「では、私が和らげましょう」と差し出される藤蜂蜜香とともに、
カシウスがこの離宮へ何を求めてきたのかが見える初登場です。
けれど薄明、「しばらく、この離宮には来れない」と告げられた瞬間、
濃かった藤蜂蜜の甘さは引いていきます。
花霞の離宮の記録
レクシア
物語開始時点|大序章「花霞の離宮」
カシウスが名を呼ばず「藤蜂蜜」とだけ告げれば、 レクシアは銀の杯を整え、その言葉を遮らずに聞きます。 王の怒りには「私が和らげましょう」と寄り添い、 夜が終われば、何も求めず外套を整えました。
この夜に見えたこと
この夜をつなぐもの
花霞の離宮
王の静域
白南天の道
「藤蜂蜜」の呼び名
銀の杯
香願から香祈へ
揺れる灯を覆った手
二十三年の聖女の空白
「私が和らげましょう」
絡めた指
藤蜂蜜香
王の外套
「しばらく、この離宮には来れない」
引いていく甘さ