「香が少し跳ねておいでです。差し支えなければ、
わたくしの忍冬を一筋だけ沿わせてもよろしいでしょうか、
セラフィナ様」
忍冬が触れたのは、セラフィナが守ろうとしていた香の奥ではなく、
外へ跳ねた縁だけ。
相手の領域へ踏み込まず、それでもひとりにはしない。
ルセリアの静かな優しさが見える初登場です。
初登場紹介|大序章
ルセリア
「控えの間」
三儀式告知の典を待つ朝。
大広間へ続く控えの間には、八十名ほどの香姫が集まり、
華やかな声と絹の擦れる音が満ちていました。
香ひらきの翌朝を迎えたセラフィナは、
身の内から滲む苺香をうまく抑えられずにいます。
その揺らぎへ最初に気づいたのが、
忍冬香を宿す友人ルセリアでした。
香姫寮環の記録
ルセリア
物語開始時点|大序章「控えの間」
ルセリアは距離を保ってセラフィナの名を呼び、 すぐに香を重ねることはしません。 忍冬を一筋だけ沿わせてもよいかと、先に許しを求めます。
忍冬を一筋
この朝をつなぐもの
控えの間
椿静月一日
ざわめく絹音
苺香の滲み
忍冬香
保たれた距離
先に求めた許し
外へ跳ねた香の縁
「楽になられましたね」